ありがた迷惑

『ありがた迷惑』この言葉あんまり好きじゃないんだよなぁ。なんか別に、もうちょっと柔らかい言葉ないのかな。

『ありがた迷惑』って口に出すのも自分で思うのも何か憚れるんだよ。良かれと思ってした行為だと思うと、すんなりとその行為に「迷惑」だと思いづらい。悪意があるなら別だけど、ただの好意や悪気なく(何も考えてないだけ)してるだけだと思うとね。「お気持ちだけで十分です」が妥当な言葉か。

まぁ、でも実際あるわな。「あ~(困り)ありがとう...ございます...」っていうの。

私が一番苦手なのが「モノ」なんだよね。良かれの口出し、手出しはいいんだけど「モノ」となると捨てるに捨てれないし、お返しが必要になる場合もある。気持ちは有難いながらもお返しを選んでる時の釈然としない気持ち。ケチだから余計に「はぁ~、あれにお返しするのかぁ。500円相当な気がするけど、同等じゃマズイわな。2000円が妥当だけど、何か素直に払いたくないなぁ」とモヤモヤモヤモヤ。売り場で悩む悩む。
年配の人が多いのかな?あんまり年齢が近い人や若い人からの「モノ」で困るなぁというのはなかったように思う。

自分が調理できないから「魚介類」をくれる人とか、食べ方がよく分からん「野菜的な何か」、全く趣味ではない衣服や小物類とかね。

身に着ける物や部屋に置くような物って相手の趣味嗜好に合わせるけど「私ってこのテイストを着ると思われてるのかな?」「これが合う部屋に住んでるって思われてんのかな?」って、ちょっと戸惑うぐらいに「申し訳ないけど、ないわ~」っていう物ね。それでも衣服は一度は着たとこを昔は見せたりもしたけど。


1年前ぐらいに友人の家に遊びに行った時。ちょうど、その子の母親が遊びに来てて顔を合わせるのが久しぶりな事もあり色々と話をしてた。

この頃、私は既にNHKの朝ドラにはまりつつありその話題もしてた。

友人の母親は俗にいう「お節介な人」になるのかもしれない。良かれと思って、会えば色々とくれるのだけど、それらの大半は「あんまり要らないモノ」。
消費期限ギリギリの食品だったり、見栄えがいい状態とは言えない菓子パン類、包装紙から取り出したけど新品らしいタオル類などなど。友人は毎度毎度この行為に「要らない物を人にあげないで」「恥ずかしいから止めて」「人にあげる物じゃないから」等々、注意するけど母親はどこ吹く風。

私はあまり、これを不愉快に思ってないし友人の母親も「何かあげなきゃ」と思って今出せるのを引っ張り出してる感じがして『あ~何かしなきゃって思ってくれてんのかな?』と思うと、その行為を無下にもできない。感謝されるような事は何もしてないけど、あの一生懸命さを見ると断ることもできない。

そんな友人の母親。朝ドラの話になった時に「あっー!そうだ!ネコオバちゃん!私のお姉さん(友人母の姉)も朝ドラ好きで全部、保存してるって言ってたからダビングしてもらえばいいわ!」と言い出した。色々と情報が追っつかない。
「お姉さんの旦那さんがやってくれてるみたいだから!あの人、そういうの出来るって言ってたから!」まだ追っつかない。

頭の整理が出来ず「あー」しか言ってない側で友人が「要らないわ。ネコオバはネットで見てるんだから」と言ってくれた。この言葉で『友人母は私がDVDか何か借りてきて見てると思ってんのかな?』と理解。私も「あーそうなんです。インターネットでNHKのチャンネルに入ってて、色々と見れてるんで~」と説明。私と友人でサブスク説明をするも友人母はどうにも「お金を払って見てるんなら、ダビングすればいいじゃない」と。

ダビングするのは友人母では無いし、私にとっては赤の他人。その上、仮に何らかの記録媒体に落としてもらってもボタン一つで選べる作品、自動再生で続きを見せてくれてる状態で今さらディスクを入れ替え(抜き差し)して見る気にはならないので、貰ったとしても場所をとるだけなんだよね。

やんわりやんわり説明しても頑としてオススメしてくる友人母。友人は怒り出して「だ~か~ら~さ~!要らないって言ってるでしょ!それにお母さんがダビングする訳じゃないじゃん!頼まれた伯母さん達にも迷惑がかかるって分かんない?お母さんが言い出す事によって皆が迷惑するって、何で分からないの?もういい加減にしてよ!」と目の前で怒鳴ってたらね~。もう私が朝ドラ言わなきゃこんな事になってねぇ~とか、あ~居づらいわ~とか思っちゃって、私が了承したらそれでいいんじゃない?とか安易な方に考え出すわけで。

友人母の言い分は「お金が勿体ない、お姉さん達はそんな事を迷惑だと思わない。そういう事を喜んでやってくれる人だから、頼んだ方がいい」と何度となく言っている。
何とな~く私に何かしてあげたい、というよりお姉さんとの接触?繋がり?みたいなのを求めてるのか、リタイア世代にとって何かしらの用事?仕事?が友人母にとってもお姉さん達にとっても欲してる事なのかも?と思うと「じゃぁお願いします」と頼んでしまった方がいいんじゃない?って。

結局、「じゃぁ、お願いしようかな」と返事をし、友人母が帰った後に怒り冷めやらぬ友人を「まぁ、まぁ」で諫め「知らないからね!面倒なことになっても」という返事をもらった。
この後、友人と「ダビングってDVDなの?BDなの?ってか容量ってどんなん?何作品のつもりなんだろ?やだ!1話15分で1作品、約37時間以上あるよ!これ、相当な作業じゃない?」などなど、安易に頼めるような事じゃなくないか?と気付き、友人から伯母さんに後日連絡を入れてもらうことにした。

友人が言った「知らないからね!面倒なことになっても」は、予知でも何でもなく確定事項だった。それはとてつもなく面倒なことになっていったからね。
友人母から「依頼」を受けた伯母さんは快く了承したらしいが、いかんせん作品数が多い。その辺りはどうする?から友人に連絡が入り、友人はその「依頼」自体を断るも伯母さんも頑固だった。伯母さん自身が作業するでもないのに「パパ(伯母さんの旦那さん)が喜ぶ」の一点張り。「人に頼まれごとをされるのは嬉しいんだよ」というような事を聞かされ、友人も折れ1作品のみを「依頼」したが、またここでゴチャゴチャと揉め、とりあえず3作品となったらしい。

友人から私に連絡が来た時にそのやり取りを聞いて『あ~何でこんな事になってんだろ』と思い、友人からは「だから言ったでしょ!あの人のお節介で碌な事になった事ないんだから!」と叱られ、極めつけは「結局、あの人の自己満足に皆が振り回されてる。言うだけ言って、何もしてないんだし」と言われた時には『あ~本当だ~。おばさん、何もしてねぇや。でも本人は良い事したって思ってんのかぁ』と思うと何とも言えん気持ちになる。

他人を巻き込み迷惑をかけまくって焼かれたBDを受け取った時には『やっと終わったわ』という安堵感と反省する気持ちばっかりで感謝とか、どっかいってるよ。
それでも「お礼」というものはせねばならず、伯母さん夫婦と友人親子に渡す贈り物を買いにデパート行ったよね。

あの時の気持ちたるや。
パパさん>友人>>>>>伯母さん>>>>>>>~略~>>>>>>>圏外域:友人母
私が思う迷惑をかけた順ね。残念ながら感謝じゃない。

選びながら『何でこんなことになったんだ!』と思案してたけど『私も同じように良かれで動いてたんだな』という事にようやく気付いた。モメてるのを見て面倒に思ったのもあるし、『友人母が喜ぶなら』の自己満足で返事をしてる。今までも「要らんなぁ~」と思っても断りきれず、『貰ってあげた方が相手も喜ぶんじゃないか』という謎の上から目線や『断った時にガッカリされるんじゃないか』という不安、事なかれ主義でもあるし、そのくせそのしわ寄せがくるとモヤモヤする。

今回の場合は自分と相手だけじゃなく、関係のない人も巻き込んでのことだったから余計に反省したわ。自分の気持ちだけ優先した結果、誰も得しないことになってる。(友人母は別だな)
『相手を思うなら断ることも必要です』の勉強代と感謝も素直に込めて贈り物は無事渡し、この件は終わった。

未だに全く封が開けられていないBD。そしてこのまま開けられないまま、終えそうなBD。これを見る度に「断る癖つけなかん!」と思わせてくれるBD。なので、本来の用途とは違うけど活躍はしてくれてるBD。ありがとう、BD。